カテゴリ: Javaの抽象クラス 更新日: 2025/09/12

Javaの抽象クラスを使うべき場面とは?設計の基本と実例をやさしく解説!

334
Java の抽象クラスを使うべき場面とは?

先生と生徒の会話形式で理解しよう

生徒

「先生、Javaの抽象クラスっていつ使えばいいんですか?」

先生

「抽象クラスは、共通の処理や定義をまとめたいときに使いますよ。使いどころを理解することで、より良いコードが書けるようになります。」

生徒

「インターフェースとどう使い分けるんですか?」

先生

「いい質問ですね。具体的な使い方や設計の考え方をこれから詳しく説明しますね。」

1. Javaの抽象クラスとは?基本からおさらい

1. Javaの抽象クラスとは?基本からおさらい
1. Javaの抽象クラスとは?基本からおさらい

Javaの抽象クラス(abstract class)は、インスタンス化できないクラスです。抽象メソッド(中身のないメソッド)を定義できることが特徴で、サブクラスに共通する処理やプロパティをまとめる目的で使います。

抽象クラスは、サブクラスで共通の処理を継承しながら、それぞれのクラスで固有の動作を実装させたいときに使います。コードの重複を防ぎ、拡張性の高い設計が可能になります。

2. Javaの抽象クラスを使うべき代表的な場面

2. Javaの抽象クラスを使うべき代表的な場面
2. Javaの抽象クラスを使うべき代表的な場面

Javaで抽象クラスを使う場面は以下のようなケースが代表的です。

  • 共通処理をまとめたいとき
  • サブクラスで異なる実装が必要なとき
  • 部分的な実装を共有したいとき
  • テンプレートメソッドパターンを適用するとき

たとえば、動物クラスのように「鳴く」動作は共通しているけれど、鳴き方は種類によって違うといったケースで抽象クラスが活躍します。

3. Javaの抽象クラスと継承を使った設計例

3. Javaの抽象クラスと継承を使った設計例
3. Javaの抽象クラスと継承を使った設計例

以下は、抽象クラスを使ったJavaの設計例です。


abstract class Animal {
    String name;

    public Animal(String name) {
        this.name = name;
    }

    void sleep() {
        System.out.println(name + "が眠っています");
    }

    abstract void makeSound();
}

class Dog extends Animal {
    public Dog(String name) {
        super(name);
    }

    @Override
    void makeSound() {
        System.out.println(name + "がワンワンと鳴いています");
    }
}

public class Main {
    public static void main(String[] args) {
        Dog dog = new Dog("ポチ");
        dog.makeSound();
        dog.sleep();
    }
}

ポチがワンワンと鳴いています
ポチが眠っています

このように、sleep()のような共通処理は抽象クラスで定義し、makeSound()のような個別処理はサブクラスで実装できます。

4. Javaでインターフェースではなく抽象クラスを選ぶ理由

4. Javaでインターフェースではなく抽象クラスを選ぶ理由
4. Javaでインターフェースではなく抽象クラスを選ぶ理由

Javaではインターフェースでも抽象的な設計が可能ですが、抽象クラスには以下のような特徴があります。

  • フィールド(変数)を持てる
  • コンストラクタが定義できる
  • 共通処理をそのまま実装できる

つまり、実装を一部提供したいときや、状態を管理する共通機能をもたせたいときには抽象クラスが適しています。

5. 抽象クラスの設計が役立つ実例:テンプレートメソッドパターン

5. 抽象クラスの設計が役立つ実例:テンプレートメソッドパターン
5. 抽象クラスの設計が役立つ実例:テンプレートメソッドパターン

Javaの抽象クラスは、テンプレートメソッドパターンと相性が良いです。このパターンでは、処理の流れを抽象クラスで固定し、一部の処理だけをサブクラスに任せます。


abstract class Meal {
    public final void prepareMeal() {
        prepareIngredients();
        cook();
        serve();
    }

    abstract void prepareIngredients();
    abstract void cook();

    void serve() {
        System.out.println("お皿に盛り付けて提供します");
    }
}

class Curry extends Meal {
    @Override
    void prepareIngredients() {
        System.out.println("肉と野菜を切る");
    }

    @Override
    void cook() {
        System.out.println("材料を煮込んでルウを加える");
    }
}

public class Main {
    public static void main(String[] args) {
        Meal meal = new Curry();
        meal.prepareMeal();
    }
}

肉と野菜を切る
材料を煮込んでルウを加える
お皿に盛り付けて提供します

このように、prepareMeal()の処理手順は固定しながら、prepareIngredients()cook()をサブクラスで差し替えています。これは抽象クラスだからこそ実現できる設計です。

6. 抽象クラスを使う際の注意点とベストプラクティス

6. 抽象クラスを使う際の注意点とベストプラクティス
6. 抽象クラスを使う際の注意点とベストプラクティス

Javaで抽象クラスを使うときは、以下のポイントに注意すると保守性が上がります。

  • 複数の抽象メソッドを定義しすぎない
  • 継承階層を深くしすぎない
  • 用途が重ならない場合はインターフェースの利用も検討する

また、抽象クラスは1つしか継承できません。複数の型の機能を取り入れたいときは、インターフェースとの併用が効果的です。

7. Java初心者が抽象クラスを学ぶときの学習ステップ

7. Java初心者が抽象クラスを学ぶときの学習ステップ
7. Java初心者が抽象クラスを学ぶときの学習ステップ

Java初心者が抽象クラスの使い方を学ぶには、以下のステップがおすすめです。

  1. まず通常の継承とメソッドのオーバーライドを理解する
  2. 次に抽象クラスと抽象メソッドの文法を覚える
  3. テンプレートメソッドのような設計パターンを通して、使い所を学ぶ

特に「共通部分は抽象クラスにまとめて、違う部分だけサブクラスで実装する」という考え方を意識すると、自然と理解が深まります。

Javaの抽象クラスの一覧へ
新着記事
FlutterのInheritedWidgetとは?仕組みと活用方法
FlutterのInheritedWidgetとは?仕組みと活用方法を初心者向けにやさしく解説
Blocパターンの仕組みと導入方法をわかりやすく解説
FlutterのBlocパターンを完全ガイド!初心者でもわかる状態管理と導入方法
Flutterのプロジェクト作成コマンドとディレクトリ構成を学ぼう
Flutterのプロジェクト作成コマンドとディレクトリ構成を学ぼう
Flutterのウィジェットとは?初心者向けに仕組みと使い方を解説
Flutterのウィジェットとは?初心者向けに仕組みと使い方を解説
人気記事
インスタンスタイプの料金比較と最適な選び方(最新2025年版)
AWSのインスタンスタイプの料金比較と最適な選び方【2025年最新版】
【AWS】VPCの料金体系まとめ!無料枠・通信費・各種サービスごとの料金を徹底解説
【AWS】VPCの料金体系まとめ!無料枠・通信費・各種サービスごとの料金を徹底解説
Java のインターフェースとは?普通のクラスとの違いを学ぼう
Javaのインターフェースとは?普通のクラスとの違いを学ぼう【初心者向け解説】
【AWS】VPCエンドポイントとは?種類・使い方・S3連携まで完全解説
【AWS】VPCエンドポイントとは?種類・使い方・S3連携まで完全解説